100歳のトムテ

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 それからだ。  僕はニコが笑ってくれるのが楽しくて、昼に夜にニコに会いに行った。  泣く前に笑わせているものだから、手のかからない泣かない赤ちゃん、よく笑う可愛いニコと近所では評判だった。  取り分けニコは僕の歌が大好きだった。  子守唄を歌ってあげれば微笑むように眠るのだ。  時々僕はお腹が空いてビスケットを一枚かすめて、ニコのミルクにひたして食べる。  ニコは黙ってそれを許してくれた、むしろ嬉しそうにだ。  彼は頭のいい子だったから、僕には歯がないのを知っていたのかも。
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