7.他大の同期

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「でも、それより、あの人達、ひょっとして私を桃子ちゃんと間違えたんじゃないかと思って。それが心配です」  えっと、桃子は驚いた。 「それはそうだな」  これまでの経緯を聞いていた本田が口を挟んだ。 「だって、フォークダンス部を解散しろって言ったんだろ? この状況で、大野女子大のフォークダンス部を廃部しろって言ってるとは思えん。練習場から女の子が出てきたら、それが桃子ちゃんだと思っても不思議じゃないなあ」 「わ、私?! なんで?」 「うむ。一番弱そうな女子を狙って脅すとは。まったく許せん」 「男の風上にも置けないな」  東条に激しく同意し、白い道着のままでいかにも強そう、に見える本田は怒りもあらわに腕を振り回した。  桃子は桜木さんのことを思い出す。やはりあのひとがこんなことまで? そう思うとぞっとする。だが何より、彼等が桃子の大事な友達を恐い目に遭わせたことが許せなかった。 「部長、戦いましょう」  桃子は立ち上がった。 「冗談じゃないわ。こんな卑劣な真似されて、黙ってられない。えりこちゃんまで巻き込んで」 「学生連合と戦うの?!」  真理子さんはびっくりしたように言った。 「そうです。学生の為の組織なんて言って、都合の悪い部分は平気で切り捨てるような組織なんて。これ以上黙って言うこと聞いてられますか!」 「桃子ちゃんが狙われるかもしれないんだよ」 「だったら尚更、黙ってられますか!」 「わかった。私も協力するわ。ねえ、皆も協力するでしょ? 勇ちゃん、圭ちゃん、よっちゃん」  真理子の呼びかけに、もちろん、と声を合わせる三人。突如肩を組み、やるぞー、おー! と叫び声を上げるその団結力は素晴らしい。彼等の大声で歌いだした校歌と寮歌を聴きながら、何と言っていいかわからず、言い出しっぺの桃子を初め、部長もえりこも目を点にしてぽかんと口をあけているしかなかった。
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