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9.涙の片恋
さて、期限ぎりぎりまで妨害されることを予測した我が杉山大学フォークダンス部一同は、一度退部した鳥越、恩田、本田、庄田が復帰したことも秘密にし、極秘・「打倒学生連合」対策委員会本部を設置した。まず連合のサークル部門担当桜木女史を陥れ、連合を根幹から動揺させる。そして執行部が汚い手を使ってフォークダンス部を潰そうとしたことを全学生に暴き、会長の辞任を要求する。これでおおまかな話は決まった。
「とはいえ、あんまり現実味のない話だねえ」
依田さんはあいかわらずだ。
「ええ~。水を差さないで下さいよ」
桃子が不満の声を上げる。
「じゃ、何をどうすんの。こっちにはそんな力無いんだし、抗議文なんか送っても、調査しますとか言って適当に無視されて終わりじゃないの」
むむむ。そうなんだけれど。
「会長が不正行為をしている証拠とか、そういったことは部下をつつけば出てくるんじゃないですか?」
「鉄壁の桜木ちゃんを懐柔するの? どうやって?」
むむむ。それも難しそうだが……。
「桜木さんの弱点とかって無いんですか?」
桃子が依田さんにすがりつくような目を向けると、依田さんは笑って肩をすくめた。
「僕の友達は桜木ちゃんのおっかけしてるけどねえ」
「あわあわ。会わせてください!」
「まあまあ、落ち着けよ。桃子ちゃん」
東条重美部長はやる気満々の桃子に半分呆れているようだった。
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