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「これが事実だとしたら、残念なことです。このサークルに関して、担当は祐天寺君でよかったのですかな」
「……はい。学生の問題ですから」
祐天寺会長は通常一人でこういう場に来ていたし、今回もサークル担当の桜木さんをこの場に連れてはこなかった。この場合彼女に釈明させるというのは酷であろう。
「この手紙はいきすぎた誹謗中傷です」
「そうですか。事実無根、ということですか」
「……その。事実に反するかなりの脚色があり……ここまで深刻なことではありません」
「このような事が噂になって、世間でフォークダンスに対する印象が悪くならなければいいのですが」
名誉会長は始終穏やかな顔をされていた。祐天寺会長は神妙に、だが内心怒りを堪え、もう一度匿名の手紙を見る……それは実際脚色や誇張が入っていた。フォークダンス部が学生の本分をおろそかにし、パーティと称する会合で学生にあるまじき乱癡気騒ぎ(かなり具体的かつ破廉恥な言い回しで個人名を並べて有ること無いこと書いてあった)を起こし、内部分裂で潰れそうだ、残った部員が再建を試みているけれど このような風紀の乱れたサークルが存続していていいのでしょうか、という、いわばチクリだ。
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