10.防衛戦

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 さて土曜日だった。またやってきた活動日。何があるかわからないのでちょっと不安は有ったが、これで活動をやめては敵の思うつぼだったので、桃子達は昼一時半から時間通り例会を始めようと準備していた。今日は依田さんや他の皆が来られなかったので、東条重美部長と門倉桃子の二人で寂しく踊るつもりだった。するとそこへ、なんと、数日前恐い目に遭ったばかりの四宮えりこが再び現れたではないか。 「えりこちゃん! 危険だって……」 「今日は昼間だし、大丈夫よ。それに、助っ人も連れてきたの」  助っ人? えりこの後ろを見ると、二人の人物が顔を覗かせた。 「こんにちは」  それは、えりこの一つ上の学年の民舞人、世羅綾乃さんと遊行(ゆぎょう)弘文さんだった。 「やあ。世羅さん。遊行。来てくれたのか!」  彼らは東条重美部長と同じ三年生だった。 「大変なんだってね。言ってくれたらいいのに。私たちも協力するよ。勧誘デモも、人数必要だったらうちの子達連れてくるから」 「ありがとう。恩に着る」 「やーね。東条君相変わらず」  大野女子大学の世羅綾乃さんはとてもきれいな人で、笑い方もきれいだ。面倒見の良い頼りになるお姉さんで、桃子も結構憧れている。一方、大野女子のフォークダンス部との提携校、福徳大学の遊行さんはとても大人っぽくて知的で美形、そしてすごく優しい。桃子はあまりしゃべったことはないが、パーティで一緒にカップル曲を踊ってもらったことは何度も有る。狭い世界なので多くが顔見知りなのである。そしてその人のプロフィールを知らなくても、どんな感じの踊り方をするのか、どんな国の曲が得意なのか、そういったことはなんとなくお互い知っていた。
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