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出勤途中、間もなく会社だと思いながら横断歩道を渡っていると、後ろから誰かが話しかけて来た
となりの課の吉田課長だ
この人、ちょっと苦手な人
体格が良く、顔も強面でかなりのがに股で歩くのでどう見ても反社の人だ
すると私の横に並んだと思ったら急に「中村さんさ、俺のこと嫌いだろ!」と顔を寄せて言ってきた
私はびっくりして咄嗟に「そんなことないです」焦りながら言ったら
「だって、俺が誘っても飲みに来ないじゃん」
「えぇ…、それは〜」
吉田課長は返事に困ってしどろもどろになっている私を追い抜いてさっさと行ってしまった
朝から嫌な気分だった
飲みに行くわけないだろ
行く理由もないしさ〜と思ったのだけれど
吉田課長に一度怒鳴られたことがあってそれ以来、隣の課なのに行くのも苦痛になっていた
怒鳴られると言うのが私には免疫がなく酷く傷ついた
内容だって怒鳴るようなことじゃないんだから
私が吉田課長の女性の部下の田辺さんに依頼していた書類を頂きに行ったときのことだ
彼女は不在だった
すると、吉田課長が出てきて「なんの用ょ?」と言って来たので
「えーと、おわかりになりますか、田辺さんにお願いしていたものなんですけど・・・」
この、「おわかりになりますか?」が気にさわったようで
「俺にわからないもんなんかないんだよー」と激高されたのだ
「いえ、そういう意味ではないです、すみません」
と言ってその場から離れたことがあった
そんなことがあって以来、もう顔を見るのも苦手になってしまった
言葉と言うものは難しい
本来の意味ではないところで勘違いされたりもする
言った本人は忘れていても言われた方はよく覚えているものだとも思う
悪い内容なら尚更だろう
そんなことがあった辺りから人との会話や言葉には確かに影響力があると思うようになった
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