1人が本棚に入れています
本棚に追加
「結婚式?」
怪訝そうなアンジーの声
「そう」
みんなが即答する
「誰の魂胆だ?グレアム
どうせ、おまえだろ!」
「ハズレ、あたしよ!」
彼女が手をあげる
「エイダ…」
彼女の顔を見るアンジー
しばらく考えて自分の服装を見る
「白、あるけど
着替えてこようか?」
「なんだおまえ、この家にまで
自分の物持ち込んでるのか?」
ロナルドが聞いてくる
「まぁ、そんなことはともかく
着替える物があるなら
その方がいいかな…!」
二人の間に入りジャックが言った
「わかったよ、おとうさん!」
真面目な顔で言うアンジー
「そんな風に言われると
変な気分だな…」
そう言ったジャックの言葉を聞かないふりして家の方に歩きだした
三人の前を通りすぎる前に
グレアムを見つめるアンジー
「ありがとう…」
少し照れながらもはっきり言った
「おまえのためじゃないよ」
「そりゃ、どうも!」
そう言うと家の方へと歩きだす
「ウェディングドレスね
彼女の大切な人たちからの
プレゼントなのよ」
エイダがみんなに言う
「大切な人…」
みんながエイダを見た
「そう。みんなの思いがこもった
大切なドレスなの…」
穏やかな笑顔で言うエイダ
「彼らに会ったのか?」
娘に訊ねる父親
「そう。フーちゃんのおばあさまが亡くなったとき以来かな…」
「あれからずいぶん経ったから」
「みんな元気だったわ
ただね、一番会いたい人には…」
口ごもるエイダ
「じゃあ彼女のことは…」
「誰も知らなかったわ…」
「そうなのか…
誰よりも知らせたい人なのにな」
エイダが父親を見て笑う
「そういえば、あのときからなのよね、フーちゃんのパパさんに
なったのは!」
エイダの言葉に顔を赤くした父親
コンコン
「誰…?」
「オレ!」
サーニンが部屋に入って来る
ここに来たときは寝室として使う部屋の中の鏡の前に立つアンジー
「着替え、すんだの?」
「そう。さっきよりはマシだろ」
鏡の前で格好つけるアンジー
「黙ってたこと、怒ってる…?」
「いーや!むしろ感謝してるよ」
「アンジー…」
「この家は彼女にとっては故郷…
みたいなもんだからね」
「オレたちにだって、そうだよ
特におまえにはな!」
「準備OK!」
そう言うと部屋を出る二人
「ロナルド
これで文句ないだろ?」
「さすが、いい男だよ!」
「お褒めの言葉
しっかり受け止めます!」
「バ~カ!」
相変わらずじゃれあう二人
「まったく、どっちが父親
なんだか…」
みんなが苦笑いしながら見ている
最初のコメントを投稿しよう!