王道総受け腐ラグが立ちました。

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 右手にジャムパン、左手にスマホ、首から下げるは双眼鏡。  そして人目のつかぬ茂みに隠れて隙間から顔を出し、俺はその時を今か今かと待ち続けた。  視線の先にあるは、ざっと3,4メートルくらいはありそうな校門。  ジャムパンをもぐもぐしながら、早く早くと胸をときめかせる。  この学校に、転校生がくると聞いたのは昨日のことである。  ホストのような出立をした担任が、昨日の終礼でサラッとそのことを伝達した。  俺はフワフワとした気持ちで寮の自室に戻った後、楽しみすぎてろくに寝ることもできず、双眼鏡のレンズを磨いたりしながら朝を迎えた。  そして、その転校生がやってくるのが本日。Today!!  既に、寮を出てここに潜伏してから、1時間程が経っていた。暦が春の今、暑さや寒さが辛いなんてことはないが、そろそろ目的のシーンにありつきたい。  副会長と転校生のKA☆RA☆MI!見たい!見ばや!!見まほし!!!  スマホの時計を見ると、時刻は8時ちょうど。…そろそろかな。  最後の一口のジャムパンを口の中に放り込み、右手を双眼鏡へと持ち替えた。  ここからは、一切の油断をせず、耳を立て、目をかっ開き、全集中の呼吸!  そしてついに、時は来た…! 「うおー!何だココ、門たっけえ…!」  門の鉄格子の向こうから、そんな声が聞こえる。  俺は双眼鏡を目に当て、そう叫んだ声の主を観察した。  モサモサの黒髪に、瓶底みたいな丸眼鏡。  うん、間違いない、あれは王道転校生だ!  その髪はきっとカツラで、眼鏡もきっとダテだろう。そしてその素顔は、金髪碧眼の可愛い系美少年に決まっている!  その王道転校生は、2,3度頷くと、鉄格子をよじ登ろうとし始めた。  うわー、王道だ!!けど、そんなことする人、本当に居るんすね…!wwww  と、その時。校舎の方からもう1人、人が歩いてくるのが見えた。  あっ、あれは…!!ktkr!!この学校の副会長だ!!名前忘れたけど、副会長だ!  副会長は、鉄格子をよじ登ろうとしている王道転校生を見て、慌てたように駆け出す。 「何をしているのですか!今開けますから、おやめなさい!」 「ん?もしかしておまえ…あなた、この学校の奴か…ですか!?」  王道転校生は、鉄格子越しに副会長を見て、下手くそな敬語を使いながら人懐っこそうな笑みを浮かべた。  それに対して副会長は、嘘くさい笑みを繕いながら頷く。  そして、副会長が門の脇の柱にあるスイッチを押すと、鉄格子は自動で開き始めた。  それを見て転校生は、「うおっ、スゲーっ!!」と言いながら目を輝かせ(たかどうかは分厚い眼鏡のせいで分からなかったが)、元気いっぱいのご様子だ。
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