テストですと…!?

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 多少の疑念はあるものの、とりあえず水に流して、英語に取り組む。 「…てかさ、やっぱ意味がわかんねえんだけど。」  問題を解きながら、思わず呟いてしまった。「何がだい?」と爽が言う。 「何で助動詞が入ると、s付かなくなったりedじゃなくなったりするんだ?そんなん気にせず、助動詞ぶち込むだけなら楽なのにな…」  半分愚痴だ。そう決まってんだからそうなんだと思うしかない。それは分かっている。だから、俺の疑問に答えて貰えるだなんて、思ってもいなかった。  しかし、爽は迷うことなく、当たり前のように言った。 「英文法はBLにして覚えたら分かりやすいよ。」 「へえ………え?」  …んっ!?www文法BL!?wwww 「ちょ、その話、詳しく!!wwwww」  俺が聞くと、爽はゲンドウポーズで楽しげに目を細め、語り出した。 「英語において、動詞は健気受けなんだよ。主語っていう攻めとの出来事がいつのことかとか、そもそも彼が3人称単数かどうかで、過去形になったりsがついたりして形を変えちゃうでしょ?動詞は、主語という名の攻めのためなら何でも合わせちゃう、究極の健気受け。主語には絶対逆らえないんだ。」 「ほう……」  言われてみれば、確かに健気。  そして、主語とかいう奴は俺様過ぎる。もっと動詞を労ってやっても良いのでは…!? 「でもね。そんな、主語に合わせてばかりの動詞が、ありのままの姿になれる相手がいるんだよ。」  爽の言葉に、やっとピンときた。 「それが、助動詞ってコト…!?」 「そう、その通り!『キミの過去(形)も追加の意味も何でも引き受けるから、キミはそのままで居て欲しい』っていう、優しい溺愛攻めが、助動詞さ。  ほら、景明、そういう攻め好きでしょ?君の言い方で言うと、善人攻めってやつ。」 「しゅき…!助動詞×動詞、推せる…ッ!!」  そんな…!訳わかめな英語の世界にそんな美味しいBLが隠れていただなんて!! 「ちなみに、攻めたる助動詞君達はたくさんいるから、それぞれの個性も覚えると良いよ。  例えば、canが居ると、動詞は何でもできるようになるんだ。willと一緒だと、意志を持って未来を見ながら生きていける。mayという攻めは、『かもね』とかなんとかボカす飄々系に見えて、実はいちいち許可を出したり出さなかったりして動詞の行動を支配するタイプの攻めだから気をつけて。」 「そうか!そう覚えれば良いのか…!!!動詞総受け最高かっwwww」 「そうそう!その調子!残りの助動詞君達の性格も勉強し終わったら、問題集の助動詞の範囲を解いてみようね。」  その後の助動詞の勉強はかなり捗った。脅迫観念形ヤンデレのmustとか、生真面目委員長系のshouldとか、その他諸々!!  そして、問題集を解いた。 「おめでとう!文法的なところは全部合ってるよ!」 「しゃっwwww」  やったぜwww助動詞、完全に理解したりwwwww
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