デジタルフットプリント

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俺はとある考えを思いついて、手を動かすと、そのウェブサイトに入る。そこには色々とヤバいものが売り買いされていた。所謂「ダークウェブ」というものだ。匿名性の高さ、行動履歴を隠すことができるというアクセスの特殊性が裏では高く評価され、大抵、ハッキングで盗まれたデータなどはここで取引されることが多い。 ここでキングのデジタルフットプリントが見つかるとは思っていないが、万が一のために、俺はコードの隅から隅までキングを探した。そして、息を呑んだ。 // 初めまして、さん // キングと申します // って、言わなくても知ってるよね 俺は目を何度も瞬きをしてから、また画面を見る。そこには先ほど同様、俺宛のメッセージがコメントで残されていた。しかもちゃんと俺の「卯月」という苗字で。普通、キサラギと言われたら如月と変換されるが、どうやら俺のことをちゃんと知っているらしい。 // 今、ビックリしてるでしょ? // 俺がまさかコメントを残すなんて、思ってなかったから 俺は辺りをキョロキョロ見渡すと、係長と目が合い、俺はまた画面を見る。 まさかこのダークウェブ自体をハッキングしたのか。どんなに凄いハッカーでも出来る奴は限られている。それぐらい、ダークウェブのハッキングは簡単じゃない。 つまり、俺宛のメッセージを残している、この「キング」という奴は、本物で間違いない。 俺はキーボードに触れると、早いスピードで打ち込む。 // お前は、あのキングなのか? // あのキングだよ // 俺と卯月さんぐらいのレベルじゃなきゃ、ダークウェブはハッキング出来ないでしょ // そうだな // 信じてくれた? // 大体は // 俺ね、ずっと卯月さんと話してみたかったんだよね // どうして俺のことを知ってる? // だって卯月さんの活躍はよく耳にしてるから // お前は俺らと同じ業界なのか? // 警察ではないよ // そういう意味じゃない // お前は俺みたいに、ハッキングをする仕事をしてるのかという意味だ // いや、違う // って言っても、信じてくれないんでしょ? // まぁな // 酷いな 俺は鼻で笑うと、心の中で「当然だろ」と呟いた。 // でも本当だよ // 俺は警察でもなければ、ハッキングをする仕事にも就いてない // 仮にそうだとして、ならお前は何者なんだ? // 教えてほしい? // どうしようっかなぁ // 教えろ そこでしばらく向こうからコメントが来ずにいる。俺はまた「教えろ」と打とうかと思った矢先、コードの一番下に向こうからのコメントが追記された。
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