2018.5 テレビドキュメンタリー『陸神山の美談』

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2018.5 テレビドキュメンタリー『陸神山の美談』

 f0f6c8ac-2518-41f2-9b0d-1fc7b6828952 豊かな自然に恵まれた陸神山(りくがみやま)。  この山の中腹につくられた「陸神山演芸場(りくがみやまえんげいじょう)」。  毎日、山の中に明るい笑いが響き渡ります。  この日は日曜ということもあって、演芸場の座席はほぼ満席。  客席の中には、この演芸場のオーナーである原鶴市(はらつるいち)さんの姿もあります。  他のお客と一緒になって、若手の漫才に笑い転げています。  「おい、見ろよ。  あそこに座ってるハゲのおっさん。  もう見事にハゲあがっとるじゃないか」  「よしさないってばよしなさい。  失礼を言ってはいせませんよ。  君、あの人知らんのか」  「知らんわ。  オレ、スキンヘッドの友だちなんかおらんぞ。  オレの友だちは、みんな髪の毛フサフサ!」  「あのな、教えてやる。  あのスキンヘッドのハゲチャビンのピッカリピーのおっさんな」  「お前もムチャクチャ言っとるじゃないか。  スキンヘッドのハゲチャビンのカノ女いない歴66年の未来のないテルテル坊主のオジさんとか・・・」  「そこまで言っとらんだろう。  あの方な。  ここのオーナーや!」  「えっ?あの黒髪をさわやかに七三に分けたカッコいいお方が?」  「ええ加減にせい」    原さんの笑い声が演芸場に響き渡ります。
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