不良と非凡

2/2
前へ
/2ページ
次へ
◆◆◆ こちらは、主人公・桜歌(おうか)(非凡)と。 親友の燐音(りんね)(不良)の、ある日のひと時です。 ◆◆◆◆◆ ある日のひと時 桜歌side 休み時間中、小腹がすいたので何か無いかなーとカバンを漁ると、お菓子がでてきた。 いつ買って入れたんだっけ? そんな事を思いながらも、ラッキーと封を開けて口にほおりこむ。 と。 「おーかぁ、おはよー」 「むぐむぐ」 おはよう、と言うには遅い時間に(今は三限目の休み時間)現れた燐音は、へらぁっと笑って俺の前の席に座った。 「?、何食べてんの?」 「むぐ、」 燐音は、口をもぐもぐと動かして返事をしない俺に小首を傾げて、じっとこちらの口元を見てきた。 ちょっと待ってな、今飲み込むから。 「コクン、小腹空いたからこれ食べてた」 口の中を空にして、菓子の袋を視線の高さに上げて見せると、燐音の視線もそれを追う。 すると、ぱちくりとした目元が細められて、 「あ~それもしかしてカバンから出てきたァ?」 「ん?」 「一昨日、俺が桜歌のカバンに入れた~」 お前が犯人か~~い 燐音曰く、その日購買で菓子を買ったのは良いものの、手ぶらだった為(カバン持てよ)丁度そこにあった俺のカバンにお菓子を詰めた…と。 人のカバンに詰めるお前もお前だけど、それに今まで気づかなかった俺も俺だよな…! まぁ、俺としては小腹を満たされてラッキーなんだけどね。 「あ」 「あ?」 すると、燐音がぱかりと口を開けた。 「元は俺の買ったもんだし、食わせて」 と…また、ぱかり。 しょうがないなー、と。 スティック状のお菓子をひとつ。袋からつまみ上げて、形のいい歯並びが見える口に入れる。 ぱくんと閉じられた唇と、燐音のふっと上げられた視線と合わさってー……… にやりと、イタズラ心が湧き上がる。 視線を燐音と合わせたままー… 咥えられていない反対側の菓子に、 「ん」 ぱくりと、俺もそれを口に含んだ。 世に言う「ポッ〇ーゲーム」 俺のこの行動に、目の前の美丈夫が驚きで目をぱちくり。 お互いにお菓子を両端から咥えている滑稽な姿………だけど、俺の戦いはここから始まった。 ポリポリポリ そりゃ食べるよね~ 少しずつ食べ進めて、でも燐音の視線からは目を離さない。 どこまで進める? どこまで許せる? どこまで、? 普段ふわふわとしている親友の反応がどう出るか楽しみで、じりじりと食べ進める。 その間も、燐音の口元は動いてなくて……さぁ、どうする? どこまで、お前は許せる? 鼻先が触れるほどに近づいた。 ポリッ…… お互いの前髪が触れ合う。 ポリッ…… 吐息を吐いた訳でもないのに。 お互いに同じお菓子を口に含んでいるだけなのに、そこで混ざり合うような絡まるような感覚。 それが絡み合うようなその時、燐音の目元が弓なりに細められて唇も上がった。 パキッ あと本当に数センチでお互いの唇が触れそうな所で、俺からそれを折って離れた。 「むぐむぐ…………ゴクン。 つまんねーの」 チッ。 慌てる様子も嫌悪感も出さずにただただ受け身だった燐音に、舌打ちをする。 てか、こんなお遊びにも余裕ぶっこいてますなー。 焦らせる事も出来なかったので、本当にそのままキスしてやりゃよかった。 つまんねーー!と、もう一度口に出して残りのお菓子を貪り食う。 そんな俺のつまらなそうな台詞と舌打ちに、燐音はもぐもぐと口に残った菓子を食べ終えて、一言。 「ざんねーん」 ぺろりと、赤い艶やかな舌で形の良い自身の唇を舐めた。 (飄々としている燐音の表情を崩したかった) (どこまでしてくれるのかなぁ~?と、内心わくわくしていた(でも、ざんねん)) end ◆◆◆◆◆◆ 桜歌は気を許した相手には、パーソナルスペース狭くて懐きます。 平凡な顔して非凡な性格。 燐音はそんな桜歌が気に入ってます。 こちらは突発的に書いた短編ですが、pixivにて本編書いてますので宜しかったら~。 (プロフにURLあります)
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加