ラスト・ダンス

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「あら、岡本さんにパートナーが居ないのね。それじゃ、私と組んで、見本になっていただこうかしら」  と言うと、彼女は俺の右手を取り、彼女の腰に誘った。彼女の体が近づき、人肌の湿ったような熱いような感じが俺に迫る。密かに付けた香水が俺の鼻をくすぐる。彼女の腰にあてた手から、血の流れている肉の感触が伝わってくる。いい歳をして何をしているんだ、という頭の中の声は一瞬にして掻き消えた。俺は心の中でつぶやいた。  母さん、済まない……
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