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「康樹の命日は毎年休暇を取ってお参りにくるのよ。お墓のお掃除と近況報告をしにね。今年は土曜日で助かったわ」
「あの、手伝います」
「まあ、ありがとう」
墓石の掃除を始める母親に、一花と柳田も加勢した。
まわりの草を抜いたり、ブラシやたわしで墓石を丁寧に磨く。綺麗になっていくにつれて、一花の心も軽くなっていくようだった。
「私ね、最近おばあちゃんになったのよ」
「おばあちゃんですか?」
「康樹に弟がいたの覚えてる?光樹っていうんだけど、結婚してね子供が産まれたの。も~可愛くって。毎日が楽しいわ。康樹が死んでからしばらく塞ぎ込んだ時期もあったし、その後もいろんなことがあったけど、前に進むって大事ね」
そう言って、康樹の母親は幸せそうに笑った。
何の曇りもない笑顔に一花の心も自然と晴れ渡る。
「一花ちゃんもお幸せにね」
康樹の母親は一花と柳田を交互に見ると、また優しく笑って去っていった。
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