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「うるさい!! 人には訊かれたくないことってあるんだよ……こっちからこんなグループお断りだ!」
もう、どうでもよかった。
午後の授業も、明日からのことも……
ただ、私や彼女達のせいで、間宮君が不必要に傷つけられることだけは絶対に許せなかった。
私の怒号で、クラス中が凍りついたように静かになった。
ランドセルに急いで荷物を詰め、教室を出る。
私は速度を緩めず、ただ前だけを向いて歩いていた。
◇
その後、また私は一人になった。
私が里香ちゃん達に罵声を浴びせた翌日から間宮君はまた私に話しかけてくれるようになった。
彼も私を庇ったことにより女子からは反感を買い、女子の顔色を窺う男子からは避けられるようになってしまった。
間宮君の引っ越し当日――
見送りは私だけだった。
「瀬名……わざわざ、ありがとう……」
間宮君は少し照れ臭そうに笑う。
「……ううん、私のせいで、こんなことになっちゃってごめんなさい……」
間宮君は私とは違って人気者だった――
「気にすんな……あの時のお前、男らしくてカッコよかったぞ」
「私、男の子じゃないし……」
間宮君は私に突っ込みを入れられ、満足気に笑う。
「あの後、千田の奴――ぎゃあぎゃあ泣いて、いい気味だった……」
「そんな……私、泣かすつもりじゃ……」
「結局、あいつは弱い奴なんだよ……誰かが味方についてくれないと何もできないんだって。本当はお前の方が数倍強いんじゃない?」
私が首を横に振ると、間宮君は、
「一人でいるって、すげー勇気いるよな……俺のせいでグループ抜けなくちゃならなくなったこと、悪いと思ってる。ごめんな……」
と言って、私の顔を覗きこんだ。
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