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家のことでいろいろあって、この時期に親の都合で転校しなければならない間宮君の方がずっと大変そうなのに……
「いいんだ……私、本当は凄く頭にきてたの。里香ちゃん達の人のことを見下したような態度、大っ嫌いだったから……」
私がそう言うと、間宮君は安心したように頷いた。
「瀬名は絶対、中学でいい友達ができると思うよ。たまたま今は、ああいう奴らと一緒のクラスになっちゃっただけでさ……って、いなくなる俺が言うなって感じだよな……」
「ううん……今まで、どうもありがとう……他の学校に行っても――」
急に涙が溢れてきて、地面に無数の水玉模様が増えていく。
暫く間宮君は何も言わず、私が顔を上げるのを待っていてくれた。
「……瀬名、タイムカプセル、この間、埋めただろ? 俺、開ける時に絶対、学校に行くから――10年後、また逢おう……な、だからもう泣くな……」
そう言うと、間宮君はプロサッカーチームのマスコットが付いたキーホルダーを私に手渡した。
それは彼がサッカークラブ用のスポーツバッグにずっと付けていた物で、マスコットの顔が少しだけ剥げてしまっていた。
「これ、俺のお守りなんだ。もう大分、年季入ってるけど……」
何か言葉を口にしようとすると、また涙が止まらなくなりそうで、私は貰ったキーホルダーをきつく握りしめた。
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