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「こないだまでさぁ……千田達に笑われて嫌そうな顔してたじゃん。『嫌だな』って思った時は、顔や言葉に出したっていいんじゃねーの。俺はさ、不得意なことがあっても誰かに馬鹿にされたりしたら『なにくそ!』って思うんだよ。誰にも迷惑かけてないの関係ない奴にウダウダ言われたりしたくないだろ……」
間宮君と私は違う……
「……私は間宮君みたいに得意なことが沢山あって、積極的に皆に話しかけられるようなタイプじゃないの……この方が楽なの……」
自分でも格好悪いって分かってる。
だけど、間宮君とは根本的に頭の出来が違うんだ……
「そっか……お節介なこと言って悪かったな。お前がいいんならそれで――」
間宮君は、そう言い残して渡り廊下を駆けていった。
私みたいに普通に歩いているだけで躓いて転んでしまう人間には真似できないような軽いステップで――
一人取り残された私の体育館履きに、舞い上がった砂埃がお似合いだだとばかりに振ってきた。
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