推しと書いて嫁と読む

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私には生まれた時から決まっている婚約者が居ると聞かされたのは、ちょうど16歳の誕生日を迎える前だった。 ナニソレ、令和にもなって何でそんな古臭いこと 言ってんのと、初めは何としてでもお断りする 気まんまんだったのに…なんとその婚約者は私の 好きなアイドルも負けるくらいの超絶イケメンだったのです。 すっかり一目惚れをしてしまった私は当然お断り なんてすることなく、あれよあれよと話は進み 結婚したのはいいのだけどどうも様子がおかしい。 旦那さんは私と話してくれないどころか、目も合わせてくれないんだ───。 「はぁ。」 思わずため息が出る。 世間一般的には新婚ホヤホヤだって言うのに新婚 らしいことはおろか、夫婦らしいことは何も出来てない。 私は一目惚れだったけど、旦那さんは断るのが面倒くさいから結婚してくれたのかな…とか、考え出すと悪い方へどんどん行ってしまう。 それじゃ駄目だと、掃除機を持つ手に力を入れた。 旦那さんが構ってくれないからこそ、せめて奥さんらしいことをしたい。 そうすればいつか話しかけてもらえるかもしれ ない。 そうやって自分を奮い立たせる。
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