推しと書いて嫁と読む

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まずは掃除からと、掃除機をかけていると床に何かが落ちていることに気付いた。 「…あれ?」 拾ってみるとそれは一枚のハンカチ。 縁に花の刺繍がしてあるそれには見覚えがある。 間違いない。 これは私のお気に入りのハンカチだ。 「何でこれがここに…?」 不思議だった。 だってそれはだいぶ前に失くしたと思っていたものだから。 まじまじとそれを観察していると、ふいに誰かの 視線に気付いた。 …旦那さんだ。 旦那さんがドアを少しだけ開けて、物凄く真剣な 表情でこちらを見てる。 何か用があるのかと思い、意を決して話しかけて みることにした。 「あの…」 「うわああああっ」 「え、ど、どうしたんですか?」 「おおおお推しがああ、推しが僕に話しかけて いる!?」 「いや、ちょっと何言ってるか分からない。」 ただ話しかけただけなのに、旦那さんは激しく動揺してる。  …ん?待って。 その右手に持ってるのなんか見覚えあるんです けど。 ゆっくり近づいて確認しようとしたら、また激しく動揺し始めた。
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