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だめだ。もうおさらばだ。
今日という今日は、死の影から逃れられそうになかった。ずっと胸の奥でくすぶっていた死にたいという気持ちにそっと火が灯って、ゆっくりと燃え広がって私という命をまるごと飲み込んでいく。
気づけば彼と最後に行ったラブホテルの前に立っていた。ここに吹く風は生臭い気がする。彼と別れたのは3ヶ月前のことだ。あの頃は仕事も上手くいっていて、彼との付き合いも順調だった、と思う。私が仕事に失敗し、一切の責任を押し付けられて職を退いたら、彼はあっさりと私を捨てた。彼にとってみれば、金を稼いでくる、ということだけが私に求めた唯一の役割だったのだろう。
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