天敵現る

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天敵現る

それは冬にしては温かい朝だった。 毎朝、入り口に立っていた総務の人が、小さなモニターの隣に並んで立っていた。 スマホよりは大きくて、iPadよりは小さめな画面がアルコールの横に鎮座している。 「今日からこちらに顔を認証させて下さい」 私の前に居た男性社員さんが、続々と認証して中へと入って行く。 次は私の番だ。 私は新しい物が大好きで、興味津々で顔認証センサーに顔を写した。 …写した瞬間 『リンゴン!リンゴン!リンゴン!』 その音はまるで、特撮ヒーローの○ルトラ○ンで、怪獣が地球にやって来たのを知らせるかのような音を鳴らしている。 画面が真っ赤になり、モニターに 「39.8℃ 異常」の文字が写し出された。 はい? ぶっちゃけ、39.8℃の熱がある人間が、こんなに元気に歩けるのでしょうか? 総務の人に一度外に追い出され 「最後にもう一度、やってみて下さい」 と言われる。 私の前に3人、若い男性社員がすんなり通って行く。 さぁ! 次は私の番。 リトライだ!! 今度こそ頼みますよ! 願いを込めて、画面に顔を写し出す。 『リンゴン!リンゴン!リンゴン!』 画面が真っ赤に染まる 画面表示には 「38.4℃ 異常」 あれ? さっきよりは下がった。
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