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総務の人に苦笑いされながら
「もう一回良い?」
と言われ、顔認証センサーに顔を写し出す。
既に、同時刻に出社していた他の社員の姿は無い。
3度目の正直だ! 頼むよ!!
願いを込めて、モニターに顔を映し出した。
すると……
『リンゴン!リンゴン!リンゴン!』
地球外生命体発見! 地球外生命体発見!
と知らせるがごとく、警告音がけたたましく鳴り響く。
そして、真っ赤になった画面に写し出された文字は
「37.7℃ 異常」
わぁ~♪3段階で1度ずつ熱が下がったね🎵
などと、楽しんでいる場合では無い!!
総務の人と顔を見合わせ、総務の人がポケットから拳銃……ならぬ、前日まで額で熱を測っていた検温君を取り出した。
(モニター検温の意味!!)
そう思いながら、総務の人に額の検温君を当てて、総務の人が苦笑いを浮かべた。
(まさか……、本当に熱が会ったんじゃ……)
と不安になる私に見せられた体温
「34.7℃」
低過ぎやしませんかね?と視線で訴えると、総務の人は私の顔を見て
「はい、OK」
とだけ呟いた。
え?低いのは良いの?と思いながら、10分後にようやく私は会社の門の中に入ることが許された。
確かに、私はめちゃくちゃ体温が低い。
子供の頃は35℃代が当たり前。
低血圧で、健康診断で血圧を測っていると
下が40 上が65
看護師さんが何度も測り直して
「先生!計器が壊れました!」
と叫んだ。
先生が仕切りから顔を出して、私の顔を見るなり
「あぁ……この人、低血圧だから」
で終了。
思い返せば、今よりかなり細身で若かったあの頃から、器械との戦いは始まっていたのかもしれない。
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