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天敵との戦い
この日から、私と顔認証熱センサーとの戦いが始まった。
〇月×日(月)
『リンゴン!リンゴン!リンゴン!』
建物の入り口から、会社へ入る警備室の受付にヤツの場所は変更された
細身の若い男の子達が無事に通過する中
1回目
『38.5℃ 異常』
画面が赤く染まり点滅する。
カウンターの下で毛繕いしてた牛柄の猫が、警報音にびっくりして逃げ出した
2回目
37.7℃ 異常
画面が赤く染まり点滅
警備員さんが苦笑いして、カウンターに置かれた額での検温君の出動
見せられた体温
35.5℃
ですよね~!
〇月×日(火)
1回目…39.7℃
2回目…37.7℃
警報が鳴り響く中、
警備員さんに熱を測ってもらったら35.5℃
〇月×日(水)
さぁ、ここまで来ると楽しくなってきた。
今日は何度かな?と、顔を映し出したら……
36.6℃ 正常
肩透かしを食らった気分だ。
でも、これでもう警報音との戦いは無事に終了したと肩を撫で下ろした。
……しかし!油断は禁物とは、良く言ったものだ
〇月×日(木)
1回目 39.4℃
2回目 38.6℃
3回目 39.6℃
仕事したくない病でしょうか?
で、結局、額で検温したら、35.9℃
なんでやねん!
〇月×日(金)
37.4℃ 正常
私は画面を見つめる
私の中で、37.4℃は大事件だ!
しかし、境界線を超えていないから正常なのか……と、私はその場を立ち去る。
なんだろう。
戦いに勝ったのに腑に落ちない。
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