第八話

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第八話

「すごいなー」 「これでよく生きてたな?」  社の会議室で、取ってきたビデオを見ている。 「俺、思い出した、ちょっとトイレ」  口に手を当て走って行った。 「全部出してこいよ」  デスクと本部長、芸能部の編集長に、新聞部長たちにビデオを見てもらった。  会議室のカーテンを開けた。 「明後日決行だそうです」 「何で一日置いたんだ」 「彼女に演じてもらうために今台本を作っているんだそうです」 「演じる?何を?」 「普通の母親ですよ」 「そんなのでいいのか?」 「それが女優としての彼女の最後の作品です」 「それじゃあ、引退か?」  たぶん……。 「たぶん手なんでだよ」 「社長たちはその気です、再起はない方がいい、でも彼女自身が決めたわけではありませんから」 「どうしますか本部長?」  んー、紙面を二通り考える。ひとつは引退、もう一つは? 「隠し子で行くか?」 「でもそっちは考えてませんよね」 「そっちは週刊誌で行く、引退一本で行こう、明後日、可憐の口から引退の言葉が出たらその時点で夕刊差し替えだ」 「よっしゃ、晃、人、好きなの選べ、詰めるぞ」 「はい」 「夕刊、必ず間に合わせろ!」 「はい!」
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