第六話

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 いいすか、ここで待っててください、話してきますんで。社の地下駐車場に置いた杉サービスのバンから飛び降りた。 「そんなまってられるか、晃、何階だ?」  エレベーターに乗り込むジジババ 「はー、ここにいろって」 「はよせ、いくぞ」 「ばあちゃんまで」 「わしゃおるぞ」 「おう、待っててくれ、何階!」 「三階!もう」  文字の消えかかった古いドアを開けた。怒号と男たちの大きな声が外に溢れ出した。 「おはよ」 「うーす」 「おはようございます」  爺たちが、デスクのところに行く 「ちょっと!」  言いかけたが遅かった。 「編集長さんかい」 「誰だ、関係者以外入れんなって行ったろうが」 「いつも世話になってるな」  名刺を出した。 「わー、会長さんでしたか、いつもお世話になっております」 「晃が世話になっとる、これ皆さんで」  お茶菓子を渡した。  ありがとうございます、今日はまた何か?手ぐすねを引いている。おい、おい。 「晃を貸してくれ」 「それと、なんていったかの、後輩君も貸してもらえるとありがたいんだがな」 「また、何かいいネタでも…」  編集長は手をこまねいている。いいのかねー。 「さあ、それは晃の仕事次第じゃな」 「えー、おれかよ」  俺はカメラのバッグとハンディカムを持った。 「真崎、手、空いてるか?」 「えー、これは?」 「そんなの後だ、カメラ持ってついてけ」 「はーい」 「それじゃあ、かりるぞ」 「どうぞ、どうぞ」 「はー、すんません、行ってきます」 「お土産楽しみにしてるねー」  にこにこしながら手を振る編集長。 「どこ行くんですか?」 「木田可憐」 「そういえば、ここ二年ぐらい見てませんね」 「まあな」 「何かあるんですか?」 「お前、ちゃんととれるようにしておけよ」 「う、うす」  家についた、数日たっていたが変わる様子もないようだ、見上げた先、誰もいないような気もするが、あそこに、確かにいた。家の前に下ろし、俺は隣の田中さんのところへ。 「え、亜美ちゃんが?」 「まだわかんないんですけどね、もう、うちの年寄りが助けるんだって聞かなくて、とりあえず、子供さんだけでも、で、あんたも外に出られるようにしてくんねえかな」 「はい、わかりましたすぐしたくします」俺たちは隣の家へと向かった。
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