わたし、今日、聖女辞めます!

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わたし、今日、聖女辞めます!

   ◇◇◇ 「戦えーーー!!!!引くなっ!今ここで逃げたらみんな死ぬぞっ!」 「で、でも!あんな、あんな数の魔物、どうやって倒したらいいっていうんだっ!」 「嫌だっ!俺はまだ死にたくないんだっ!死にたくない!死にたくないっ!」 「ああ、誰か、神様……」  ガルメール王国の若き兵士達は、今まさに、絶対絶命のピンチをむかえていた。  演習に出掛けた先で突如発生したモンスターパレード。その数実に1万匹以上!わずか300人の若き兵士達にはなすすべも無く、自分達の無力さに打ちひしがれていた。誰もが死を覚悟し、絶望したそのとき! 「はぁ、だるっ」  可憐な学生服に身を包んだ彼女が舞い降りたっ! 「ふふ、今日こそ、今日こそ学校に行けると思ったのにっ!許さないんだからっ!悪しきもの!全て滅びよ!オールクリーン!」 「「「グギャーーーーーーーーーー!!」」」 「す、すごい!あれだけの魔物を一瞬で……」 「え?俺達、助かったのか?」 「た、助かった!助かったんだ!」 「「「聖女様ーーー!!!聖女様バンザーイ!!!」」」   聖女エリナは勝利の喜びに沸き立つ兵士達を死んだ魚のような目で見つめていた。 「もう帰ってもいいですか?私今から学校なんですけど?」 「「「あなたこそ我らの女神!!聖女様!あいしてるぅ!」」」 「人の話聞いてますかっ?わたし、今日、聖女辞めます!」  よろこびに沸き立つ兵士達に彼女の声は届かない。  聖女エリナは魔法学園に通う17才。本来なら恋に勉強に大忙し!で、青春真っ盛りの筈だった。  しかし、不幸にも魔物を浄化する聖魔法持ちであったため、入学してからというもの、魔物討伐に派遣される毎日。  毎日毎日魔物を討伐し続けたため、今ではレベルカンストの聖女として絶大な力を持ってしまった。  このままでは、私の青春が魔物討伐で終わってしまう!まだ、彼氏もいないのにっ!  彼女が遠い目をしている間に、次々と兜をとって足元に跪く兵士達。 「!!!!!!!!!」  見たこともないレベルのイケメンたちがそこにいた! 「聖女様に我が愛と忠誠を!」 「愛しています!」 「結婚してくださいっ!」 「え?え?ええ~?」  ガルメール王国の若き近衛騎士団。見目麗しく身分高い彼らはまさに全員選りすぐりのエリート達。  聖女の青春は今まさに始まろうとしていたっ!
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