9 ストロベリーミントキャンディ

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「お前、酒そんなに強くねーだろ」 「ふぇ?」 「顔、真っ赤」  酔い冷ましに寄った公園で、適当なベンチを見つけて座った。足をどかっと広げて座る彼。そのせいで、私の場所はとても狭い。 (前にもこんなことあったな……)  だけれど、あの時よりも明らかに心拍数が上昇している。 「……あのさ」 「?」 「あそこのケーキもうまかったけど、お前のアップルパイ、食べたい」  小さな声でそう言った彼は、ふいっと顔を反らした。 「でも、あれは……」 「颯斗と作ったんだろ。そうじゃなくて、お前の」 「私の……?」 「佳英の作ったアップルパイ、食いたい」 「え………今……」  見上げた彼の顔は見えなかったけれど、その耳は赤く染まっていた。 「……あんたも、耳まで真っ赤じゃん」 「てめえバカにしてんのか!」  そう言いながら振り返った彼の顔は、思ったよりも赤く染まっていて、私はふふっと笑った。
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