3 ブラックコーヒー牛乳

2/5
前へ
/37ページ
次へ
 それからまた何日かが過ぎた。相変わらず誰にも会わないコンビニの店内で、新作のチョコレートを片手にレジに並んでいた。その袋を見ると、なぜか胸がざわざわと騒ぐ。 (これ、キャラメル男も好きかな……)  隣に立った彼が、これをひょいと私の手から取り上げて、「も~らい!」とニヤリと口角を上げる姿を思い浮かべる。 「はぁ……」  チョコレートの袋をきゅっと握ると、何故だか自分の心もきゅっと掴まれたような気がした。 「会いたいなぁ……」  会いたい。そっか、会いたいんだ。  私、アイツのことーー。  私は今日の終業後、会えるかもしれないあの場所へ向かうことをそっと決めた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

94人が本棚に入れています
本棚に追加