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「ご注文をどうぞ」
「さくら抹茶アイスラテを……」
「申し訳ございません、そちらはもう既に完売しておりまして……」
終業後に訪れたカフェで告げられた事実に、肩を落とした。
「そっかぁ……じゃあ、キャラメルマキアートください」
「はい、少々お待ちください」
店員がレジを打つ姿をぼうっと見ていると、誰かが私の肩をポンっとたたいだ。胸がドキリと大きく高鳴る。
「あはは、びっくりさせちゃったね♪ 久しぶり、佳英ちゃん!」
「颯斗さん……」
「そんなあからさまにがっかりした顔しないでよ、傷つくじゃん……」
そんなことを言いながら、ケラケラ笑う颯斗さんに釣られて、私も自然に口角が上がっていた。
「すみません……」
「ま、いいよ! あ、おねーさん、ブレンドも1つ!」
「え! 颯斗さん、ちょっ!」
私が止める間もなく、颯斗さんは財布からさっとお札を取り出してそのまま支払いを済ませる。
「まあまあ、ここで会ったも何かの縁!」
あっけにとられる私を、颯斗さんは早々に受け取りカウンターへと促した。
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