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缶コーヒーをカップの3分の1注ぎ、その2倍の量の牛乳を注ぐ。
(この色……もはや、コーヒーではない……)
そんなことを思いながら、キャラメル男の前にそれを差し出した。
「はい、どうぞ」
「ん………にっが!!!」
「あっはは!」
思わず噴き出した。それは口を付けたかつけてないか微妙な量だったのだ。
「何だよ……」
バツの悪そうに視線をさまよわせた彼は、そのままチッと舌打ちをした。
「おい!」
「はい、何でしょう!」
急に出された大きな声に、思わず背中がしゃんと伸びる。
「クッキー、よこせ」
「……え?」
「あ……クッキー、を、ください……」
小さくなる語尾、下げられた視線。そこから覗く頬も耳も赤いのに、差し出された手だけはまっすぐとこちらに伸ばされる。
「はい、どうぞ……」
私はラッピングしたマーマレードクッキーをそこに乗せると、その場から逃げ出すように彼の部屋を飛び出した。
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