5 マーマレードクッキー

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 缶コーヒーをカップの3分の1注ぎ、その2倍の量の牛乳を注ぐ。 (この色……もはや、コーヒーではない……)  そんなことを思いながら、キャラメル男の前にそれを差し出した。 「はい、どうぞ」 「ん………にっが!!!」 「あっはは!」  思わず噴き出した。それは口を付けたかつけてないか微妙な量だったのだ。 「何だよ……」  バツの悪そうに視線をさまよわせた彼は、そのままチッと舌打ちをした。 「おい!」 「はい、何でしょう!」  急に出された大きな声に、思わず背中がしゃんと伸びる。 「クッキー、よこせ」 「……え?」 「あ……クッキー、を、ください……」  小さくなる語尾、下げられた視線。そこから覗く頬も耳も赤いのに、差し出された手だけはまっすぐとこちらに伸ばされる。 「はい、どうぞ……」  私はラッピングしたマーマレードクッキーをそこに乗せると、その場から逃げ出すように彼の部屋を飛び出した。
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