5 マーマレードクッキー

4/4
前へ
/37ページ
次へ
 その足は自分の部屋に飛び込むと、そのまま体をベッドにダイブさせた。 (何なのよ、あの顔……)  自分に向けられたわけではないのに、あの顔が脳裏に焼き付いて離れない。 「~~~~~~~!」  言葉にならない気持ちを叫びたくなって、それは声にならずに自分の中に名もなき音になって響き渡る。 (クッキー食べたいからって……あんな顔、する?)  枕に顔をこすりつけた。 「あーーーーーーーーー!」  今度は音になったその声は、ベッドが全部吸い取っていく。  心臓の音だけが、バクバクと響いていた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

94人が本棚に入れています
本棚に追加