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急いで身支度を整えると、キッチンではさっそくエプロンをした颯斗さんが手を洗っていた。
「じゃ、始めるよ~♪」
「あ、あの……」
「ん? 早く佳英ちゃんも手を洗って?」
有無を言わせぬ彼の物言いに、何故か私も手を洗う。隣では既に、粉を計量している颯斗さん。
「まずは、薄力粉を合わせてふるう。はい、やって!」
「は、はい!」
何故かそれをふるう私。颯斗さんは隣でバターやらなんやらを計っていた。
「あ、あの……」
「な~に?」
「パイ生地から作るんですか……?」
「そ。お袋はそうしてた」
「こんなに本格的に作るの、初めてなんですけど……」
「大丈夫。お袋直伝レシピだから、絶対に失敗しない」
整った爽やか笑顔でそう言われ、なぜか一緒にパイ生地づくりがはじまったのだった。
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