7 アップルパイ

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 颯斗さんにはコーヒーを淹れ、私は朝食のトーストを頬張る。ちょうど食べ終えたころ、シナモンの甘い香りが漂ってきた。 「そろそろかな?」  颯斗さんがそう言うと、ちょうどオーブンが鳴る。彼が取り出したそれは、とても美味しそうな色に焼けていた。 「初めてにしては、上出来じゃない?」 「はい!」  なぜか満足感でいっぱいで、ほっと息をついた。 「佳英ちゃん、休んでないの」 「へ?」 「さ、届けに行くよ!」 「届けにって……」 「もう、雄嗣に決まってんじゃん!」 「え?」  アップルパイから顔をあげると、颯斗さんはなぜか私に膨れて見せる。 「何のために作ったのさ?」 「いや、そもそも私は……」 「じゃあ、なんで雄嗣の好物なんて聞いてきたのさ?」 「そ、それは……」 「好きなんでしょ?」 「……っ!」 「俺なんかより、ずっと」  そう言った颯斗さんは、微笑んでいるのにまたあの目をしていた。私はなんだかその顔から目が離せなくて、小さくコクンと頷いた。
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