7 アップルパイ

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 で、来てしまった。焼きたてのおいしい香りを漂わせるそれを手に、キャラメル男の部屋の前に立っていた。 ーーピンポーン。 「ああもう、颯斗さん勝手に押さないでくださいよ!」 「いいじゃん♪」  ワーワーぎゃーぎゃー騒いでいると、目の前の扉が開く。 「ったく、人ん家の前でうっせぇな……」 「じゃ、佳英ちゃん頑張って!」  颯斗さんはそう言うと、私の背中をポンと押した。 「わっ!」  つんのめった私は、そのままキャラメル男の胸にダイブしていた。 (う、嘘~~~~~っ!?) 「ご、ごめんなさい!」  急いで彼の胸から離れると、手に持っていたはずのアップルパイがない。 ーーーべちゃっ! 「………あ」 「あーあ」  私と颯斗さんがそう言ったのは、ほぼ同時だった。 「ぷっ! 雄嗣、ナイスキャッチ!」  つんのめった拍子に宙を舞ったらしいアップルパイは、彼の頭の上に逆さ向きに着地したのだ。 「何のつもりだてめぇ……」 「ひぃ……ほ、ほ、本当にごめんなさいでした!!!」  意味も分からない謝罪の言葉を述べてしまうほど、私の頭は真っ白だった。 (なんで急にこんな漫画みたいな展開に……) 「おい、これ……」  キャラメル男は私の目の前で、頭についたりんごを指でつまむとそのまま口に放り込んだ。
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