8 ダージリンクッキー

1/2
前へ
/37ページ
次へ

8 ダージリンクッキー

「妬けちゃうなぁ……」  雄嗣と佳英ちゃんの前から立ち去り自分の部屋に戻った俺は、チャロの姿を探した。チャロは窓辺のソファの上で、背中を丸めて寝ていた。  いつも、俺が雄嗣の傍にいた。  そうやって、雄嗣に悪い虫がつかないようにしていた。  あの子も一緒だ。ジャマ子とか言うから、少し油断した。  コンビニで会った時は驚いた。だから、カフェで彼女が来るのを張っていたら、案の定彼女は現れた。  雄嗣の前から、彼女を消す予定だったのに、俺はなぜデートの約束までさせてしまったのだろう……。 「バカだな~、俺」  気持ちよさそうに寝息を立てる彼女の隣に座って、背中を撫でる。チャロはぴくっと体を揺らして起き上がると、そっぽを向いてどこかへ行ってしまう。 「君まで僕を置いてけぼりにするの?」  チャロの後を追うと、彼女はゴミ箱の前で止まった。 「にゃ~」 「チャロ……」  そこからクッキーを拾い上げると、なぜだか乾いた笑いが口から洩れた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

93人が本棚に入れています
本棚に追加