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「言っとくけど、これは夕日のせいだからな!」
彼はポケットから箱を取り出すと、そこから飴玉を一粒取り出して口に放った。
「……わり、大きい声出した。その……なんていうか……」
彼は後頭部を2、3回くしゃくしゃと掻きむしると、そのままぶっきらぼうに言葉を口にした。
「俺さ、お前が好きなんだよ。お前が颯斗と一緒に居ると、すんげぇ気分が悪いの。だから、さ……」
彼の目が私のそれに向けられる。照れくさいけれど、なぜだか目が離せない。
「佳英だけで作ったアップルパイを、俺に、ください……」
雄嗣はそれだけ小さな声で言うと、そっぽを向いて口の中の飴玉をガリガリ噛んだ。
「……私も、好きだよ」
「……」
「雄嗣が、好き……」
「そっか……サンキュ」
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