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2 キャラメルとチョコレート
「お、お邪魔します……」
おどおどしながら部屋に入れてもらう。
「チッ……何で俺がジャマ子を保護しなきゃなんねーんだ」
そう言いながら、キャラメル男はキッチンへ入っていった。私はすることもなく、とりあえずリビングの床へペタンと座り込んだ。ちゃんと家に上げてくれたのだから、悪い人ではないのだろう……と思いたい。
キッチンから香るハーブティーの匂いが、私の心を落ち着かせてくれた。
「おい、ジャマ子、」
(ヤバイ、完全に気を抜いていたっ!)
「は、はい、なんでしょう!?」
振り返るとマグカップを二つ持ったキャラメル男。
「お前、なんで床に座ってるんだ?」
「へ?」
「ほら、ここ座れ」
キャラメル男はソファにドカッと腰をおろすと、自分の隣をポンポンと叩いた。
「いや、でも……」
「いくらジャマ子でも一応来客だ。それに、床に座ってたら俺通りにくいだろ、蹴るぞジャマ子」
そう言ってキャラメル男は私を蹴飛ばす真似をした。
「そ、そ、ソファに座らせていただきます!」
急いでソファに座ると、思いのほか狭い。二人掛けのソファに男の人と座ったら、私のスペースは狭くなるだろうけど。
(それにしても、もう少し足閉じてくれたらいいのに……)
久しぶりの男の人との距離に、私の胸は不覚にも高鳴った。そんな私の気も知らないで、優雅にハーブティーを飲むキャラメル男。
「ジャマ子、こーゆーの嫌いだったか?」
「え、あ、いや……」
(こーゆーのって何よっ!)
私は急に熱を帯びた顔を隠すように、急いでカップに口を付けた。
「カモミールとレモングラスは心を落ち着かせてくれる効果がある。ハチミツ混ぜたから苦手でも飲みやすいと思うんだが……」
「……あ、そっちか」
「そっちって何だよ」
(やば、つい口に出てた……)
「お前、もしかしてヤらしいこと考えてた?」
ギクっとして肩を震わせた。その瞬間、口をつけていたカップからハーブティーが口の中に流れてきた。
「そうだよな、まあ男の部屋にのこのこと上り込んできやがったし……」
「あっまぁーーっ!」
キャラメル男の言葉を遮り私は叫んでいた。
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