2 キャラメルとチョコレート

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「はあ?」 「これ、甘過ぎっ! どんだけ砂糖入れたんですか、もう……」 「砂糖じゃない、ハチミツだ!」 「これ普通に飲める人の気が知れない……」 「悪かったな、テメーは飲まなくていいっ!」  キャラメル男は私の手からマグカップを奪い取ると、そのままぐっと飲み干してしまった。 「……」 「……」  ハーブティーを飲み終わってから、ずっと沈黙が続いている。と言っても、私はあの一口しか飲んでいないのだけれど。 「はぁ……」 「何いっちょまえに溜息ついてんだよ、ジャマ子。元はといえばお前が鍵なくすのがいけねえんだろ」 「そ、そうなんだけど……」  微妙に近いその距離で、キャラメル男の息が微妙に耳元にかかる。 (話さないでほしいんだけど……) 「お前、」 「ふぁ、はいっ!」 「まさかベッドで寝たいとか言わないよな?」  不機嫌そうな顔でも、近づいてきたらドキドキするわけで。 (ガンつけてんのか何なのか知らないけど、とにかく離れて―っ!)  その瞬間、彼の口元がニヤリと動いた。 「お前、こーゆーこと期待してたんだ」  彼の指が私の顎を持ち上げた。彼の顔がどんどん近づいてくる。 「そうかお前、わざと鍵無いって言って……」  整った顔が目の前にあって、どんな顔をしていいのか分からない。とにかく頬が熱を上げていることだけは分かった。  さらに近づいてくるその顔に、私は仰け反り目をギュッと瞑った。 (だ、ダメーっ!)  ……チャリン 「……っ!」  キャラメル男は音のした方を手で探った。 「……ん?」  彼の掌には、私の家の鍵が乗せられていた。 「これ……」 「あー、朝急いで上着のポケットに入れっぱなしにしてたんだった!」  私は彼の手から鍵を奪い取ると、鞄を持って玄関に走った。 「お邪魔しましたっ!」 「……チッ」  彼の部屋を出て急いで自分の部屋に駆け込んだ。
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