2 キャラメルとチョコレート

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 それから何日か甘いもの合戦を繰り広げた私達。いつも朝に来るからいけないと気付いた私は、今日は帰りに寄った。 (よし、アイツいないな……)  今日は某有名カフェ監修のカフェラテ。ほろ苦いキャラメルソースが話題の新商品だ。 「あった!」  最後の一つなのが気になるけれど。意を決して、棚に手を伸ばした。と、誰かの手が私の手とぶつかった。 「あ……」 「またかよ、ジャマ子」  ギロリとこちらを睨むその目付きも、もう気にならなくなっていた。 「それはこっちのセリフ!」  と、ひょっこりキャラメル男の陰から別の男性が顔を覗かせた。 「あれれ、佳英ちゃんじゃーん! おっひっさー!」  颯斗さんの登場にあっけにとられているうちに、キャラメル男に最後の一つを取られてしまった。 「今日も俺の勝ち、だな」 「2人って仲良かったんだね~♪ もしかしてあの日から仲良くなっちゃった感じ~?」  ニヤリと口角をあげるキャラメル男の隣で、颯斗さんはニヤニヤと笑っていた。 「はぁ? んなわけねーだろ」 「そんなこと言ってあっやしー♪」 「そうですよ! いっつも私が欲しいもの持ってっちゃうんですから!」  私が膨れると、なぜか颯斗さんは私を庇うように立ってくれた。 「雄嗣。だめだよ、可愛い子には優しくしなきゃ!」  ぽっと頬が熱を帯びたらしい。熱い。 (い、イケメンに可愛いって言われたー!) 「……チッ」 「ゆ、う、じ、?」 「あー分かった! もういい、お前にくれてやるっ!」  キャラメル男は持っていたカフェラテを私に向かって放り投げ、自分用にコーヒーを手に取ってレジへ向かった。 「あ、それ……」 (ブラックだったんだけど……) 「ふふーん。まったねー、佳英ちゃん♪」  足早にコンビニから去るキャラメル男を、颯斗さんは追いかけた。  私が持っていたカフェラテはチルドだったのに、持っているところが、じんじんと熱くなる気がした。
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