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それから何日か甘いもの合戦を繰り広げた私達。いつも朝に来るからいけないと気付いた私は、今日は帰りに寄った。
(よし、アイツいないな……)
今日は某有名カフェ監修のカフェラテ。ほろ苦いキャラメルソースが話題の新商品だ。
「あった!」
最後の一つなのが気になるけれど。意を決して、棚に手を伸ばした。と、誰かの手が私の手とぶつかった。
「あ……」
「またかよ、ジャマ子」
ギロリとこちらを睨むその目付きも、もう気にならなくなっていた。
「それはこっちのセリフ!」
と、ひょっこりキャラメル男の陰から別の男性が顔を覗かせた。
「あれれ、佳英ちゃんじゃーん! おっひっさー!」
颯斗さんの登場にあっけにとられているうちに、キャラメル男に最後の一つを取られてしまった。
「今日も俺の勝ち、だな」
「2人って仲良かったんだね~♪ もしかしてあの日から仲良くなっちゃった感じ~?」
ニヤリと口角をあげるキャラメル男の隣で、颯斗さんはニヤニヤと笑っていた。
「はぁ? んなわけねーだろ」
「そんなこと言ってあっやしー♪」
「そうですよ! いっつも私が欲しいもの持ってっちゃうんですから!」
私が膨れると、なぜか颯斗さんは私を庇うように立ってくれた。
「雄嗣。だめだよ、可愛い子には優しくしなきゃ!」
ぽっと頬が熱を帯びたらしい。熱い。
(い、イケメンに可愛いって言われたー!)
「……チッ」
「ゆ、う、じ、?」
「あー分かった! もういい、お前にくれてやるっ!」
キャラメル男は持っていたカフェラテを私に向かって放り投げ、自分用にコーヒーを手に取ってレジへ向かった。
「あ、それ……」
(ブラックだったんだけど……)
「ふふーん。まったねー、佳英ちゃん♪」
足早にコンビニから去るキャラメル男を、颯斗さんは追いかけた。
私が持っていたカフェラテはチルドだったのに、持っているところが、じんじんと熱くなる気がした。
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