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「あれ、百瀬のお姉さんなのか?麻央って言うのか?」
瑠衣が戸惑った様子でお姉ちゃんのことを見ている。
あたしとお姉ちゃんはよく双子みたいに瓜二つだっていわれるし、あの時の「麻央」をお姉ちゃんだと思ったのかもしれない。
でも、お姉ちゃんは瑠衣のこと知るわけないし幼なじみのりっくんのことしか見えてない。
多分今この瞬間もお姉ちゃんは瑠衣のこと視界に入ってないと思う。
「……っ、え?ちょっと混乱してる」
違うんだよ、瑠衣。
お姉ちゃんを「麻央」だって思わないで。
瑠衣とずっと一緒にいた「麻央」はあたしだよ。
……だなんて、バレたら困るくせに他の人だと思われたくないなんてただの贅沢だね。
「百瀬、ちょっといいか?」
少し気を取り直した様子の瑠衣があたしに向き直る。
「……え?」
「少し百瀬と話したいんだ」
真剣な眼差しでそういう言われて、自然とこくんと頷いていた。
なんの話かわからなかったけど、でも「麻央」に関係することだってのはわかる。
お姉ちゃんがどうして自分に気が付かないのか……ってことなのかな。
「あたしに聞かれてもわからない」で通せばいい?
それともお姉ちゃんは記憶がないとか言えばいい?
そんなどうしようもないことばかり考えていた。
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