仲間

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 翌日、由貴は朝一番で入院している星也の見舞いに行った。 「身体は大丈夫?」  星也は、由貴の想像よりもはるかに元気そうだった。ベッドの上でも、いつもと変わらぬ、人のいい笑みをたたえている。 「うん。なんかごめんね。昨日はかなり心配をかけちゃったみたいでさ」 「いいよいいよ。星也が無事で何よりだから」  星也は赤信号なのに横断歩道を渡ろうとした子供をかばって、直進してきた軽自動車とぶつかってしまったそうだ。幸い、かなりスピードを落として走行していたため、星也も子供も、車に轢かれずに済んだ。子供には怪我すらなかったらしい。 「しばらくは三人になっちゃうね。ごめんね、大事な時期に」  星也は自分の右足――包帯でぐるぐる巻きにされ、ギブスでがっちりと固定されている――を見ながら、ぽつりと、そう言う。
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