なぜ転売をするのか ①定職に就いており副収入を得るために転売をする人

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なぜ転売をするのか ①定職に就いており副収入を得るために転売をする人

 まず、転売をする人を、大きく2種類に分ける。 ①定職に就いており副収入を得るために転売をする人 ②定職に就いておらず主な収入源として転売をする人  ①には、学生や主婦等で、興味本位に転売を行う人も含める。  昨今「副業」「副収入」というワードを耳にする機会が増えた。有限である時間をいかに効率よく使いいかに豊かな人生にするか、という言葉は一昔前から少し意味を変え、家族サービスや人付き合いに空き時間を費やす事が有意義とされていたのが、現在では個人主義の名の下に、他人と接する時間を極力減らしよりわかりやすいリターンを、具体的にはカネを手に入れる事ができる時間が有意義なのだと、解釈する人が増えたように思う。  隙間時間でカネを得るとは、なんとも斬新というか、目から鱗というか、がめついというか、守銭奴というか。  学生等が「これを〇〇カリに出したら2千円利益が出る」なぞとはしゃいでいる姿を見れば、出品して梱包して発送してという時間を、2千円ぽっちでは得る事ができない体験に充ててはいかがか、と説きたくなるが。2千円欲しいのだろう。  サラリーマンの副収入目的の転売にしても、せっかくの余暇をそんな、物を右から左に流すだけの作業に充てるくらいなら、自己啓発セミナーに通うか競艇の予想をしたほうが自己研鑽となるように思う。  私は自己啓発セミナーへ行った事がないが、たとえ得るものがなかったとしても、他人の頭の中を覗くという行為は自らを高めるきっかけになる。そういった意味では、読書もお勧めしたい。知識は肉体が滅びた暁に霧散するとしても、滅びるまでの時間を豊かにする。カネも墓には持って入れないのだ。ならば豊かな人生となる肥やしを蓄えたほうが、良いではないか。  「カネがなければ豊かではない」との反論がおありだろう。しかし今は、就業している事が大前提で、余暇、隙間時間の過ごし方の話をしている。不足するカネは生業か、その他の労働で得て頂きたい。  労働は美徳だ。この時世だからこそ、声高く言いたい。上手くいかなかった事も、辛い目に遭った事も、もし自分の周りに会社も仕事も国も無くなった時の、自分の実力だけで生きるしかなくなった時の糧になる。転売ではそれを得る事はできない。2千円手に入るだけだ。  「余暇でもカネを得る事ができなければ豊かではない」という人がいるのなら、もはや人としての分類が私と違うので、分かり合える日は来ないだろう。あなたはバスケットボール型の人です。事ある毎に時間を止めて、ムダを一切許しません。いかにもアメリカ人が好みそうなスポーツだ。私はサッカー型の人です。ゴールした後も時間は流れているし、アディショナルタイムなんて審判のさじ加減です。その無駄な時間、不透明な時間に魅力や意義を見出せるか、その部分の違いだ。  競艇は言わずもがな、身銭を切って自らを戒める貴重な体験だ。ほとんどの場合は最初のコーナーで勝負が決するので、そこで自分の思惑が外れた場合には、残り2周する間ずっと、なぜこの展開を予想できなかったのか、なぜ希望的観測で買った舟券をこんなに持っているのか、そもそもなぜこんな事をしているのか、と自らを戒め続けるしかないのだ。この体験は転売では得る事ができない。仕入れた物の価値が暴落した際等は似た状況と言えるが、競艇にはスポーツという側面があるので、自分が負けてもドラマはある。その風景を見るためなら負けても良いとさえ思う。皆さんにもぜひ、競艇をご覧になって頂きたい。  この①に関しては、昨今の転売ブームに乗った人、副収入ブームに乗った人が多い。いずれにしても定職に就いているか学生か主婦であるため、立ち行かなくなったら辞める選択肢がある。昨日転売による雑収入の申告漏れが取り沙汰されていたが、面倒な確定申告の手続きを踏むくらいなら、いっそ足を洗う人が増えるのではないかと私は踏んでいる。  では②の人はどうであろうか。
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