スイートピーが咲く頃に

　1日中ベットに寝たきりのリズを見て、彼は泣きながら神に祈り続けた。

　しかし彼はあることに気づく、今するべきは祈ることではなく、リズが大切にしていたスイートピーを咲かせることだと。

　それから彼は寝る間も惜しんで研究室を重ねた。すると芽が出てきているではないか。彼は、鉢植えを持ってリズの寝室に飛び込んだ。

「リズ見てくれ、芽が出たんだ！もう少しで花が咲くぞ。ずっと見たがっていただろう？」

　するとリズは掠れた弱々しい声で「ありがとう。でも花よりも、あなたと話をしている時間が一番大切よ。愛してる。」と言った。

　それから彼は片時もリズの側を離れようとはしなかった。

　約6ヶ月後、リズは亡き人となった。

　リズの隣には、今にも蝶のように飛んで行きそうなスイートピーの花が咲いていた。