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「ど、どうしたの?」
「エナ……」
「うん?なに?」
「そうよ、『エナ』よ……」
「うん、だからなに?私がどうしたの?」
要領を得ない会話にちょっとイラっとしながら聞き返す。
「違う、そうじゃない!……そうよ!エナよ、エナ!犬っ!!」
「い、犬……?」
尚更分からなくて頭がこんがらがる。
「そう!以前、ハナがボソッと言っていたのを思い出したわ!『一緒に育って来たワンちゃんが病気で亡くなった』って。その犬が確か女の子で名前が『エナ』よ!」
興奮気味に話す雪ちゃんの鼻息が荒い。
「えっと…つまり、可愛がっていたワンちゃんが亡くなった後、私が現れて、しかも名前が同じ『エナ』だったから親近感が沸いた、と言う解釈で良いのかな?」
「そうね、きっとそうだわ。多分、ハナの事だから運命とか感じちゃったんだと思う」
私の要約した解説に、雪ちゃんがうんうんと頷く。
なるほどね。
確かに、それはちょっと運命感じちゃうかもしれないな。
「あ~、スッキリした~。ずっと気になっていたのよね」
「良かったね」
「ええ、江奈のおかげよ、ありがとう」
「だから、私は何にもしてないってば」
「ううん。江奈のおかげでハナが元気になったのは事実だもの。感謝よ」
「……雪ちゃん」
雪ちゃんは自分で気付いていないかもしれないけど、すごく良い笑顔をしている。
私は、なんだかんだでハナちゃんの事が大好きなんだぁ、と実感した。
(たまに、扱いが雑になるけどね)
こないだの誕生日パーティーの時とか。
「さ!スッキリした所で、そろそろ戻りましょうか」
「うん」
酔いも少し冷めて来たし、私達はお店の中に戻る事にした。
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