魔性のプリン

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「もう一度聞くが、本当に後悔しないんだな?」 「はい、絶対にしません」 「じゃあ、いくつか約束事を決めることにする」 「約束事、ですか?」 「ああ、まず期間だ。そうだな、3ヶ月……。3ヶ月あればそれなりに自信はつくだろう。1月末までだ」 「わかりました。1月末までですね。えっと、それは毎日ですか?」 「はっ? ま、毎日? 毎日なんてできるわけないだろ。しゅ、週1回だ、週1回」 部長はびっくりしたような顔をして私を見ている。 そんなに驚くようなことだろうか。 確かに毎日仕事が終わってからレッスンというのは大変かもしれないけれど、3ヶ月しかないのならできるだけたくさん教えてもらいたいだけなのに。 「部長、3ヶ月で週1回だと、レッスンは全部で約12回ってことですよね? できれば私……、もう少し多く教えてもらいたいんですけど。可能であればもう少し回数を増やしてもらうか、期間を延ばしてもらうことはできますか?」 部長はきょとんと私を見つめたまま動かなくなってしまった。 「あの、部長、どうかされました? 回数か期間……」 「じゅう、12回だと……、そ、その、少ないっていうのか?」 「はい、できれば多くしてもらいたいです。初めてなので……」 「はっ、初めてだからって、まっ、毎日なんか……。そ、そんなにできるわけないだろ……。じゃ、じゃあ、平日は無理だから週末の金、土、日の3日間の中の2日で。それでいいか?」 おでこに手を当てて大きな溜息を吐いている部長に、わかりました──と返事をする。 「あと……、場所はどこになりますか? うちに来ていただけるんでしょうか? それともあの……、あんなことをする、ら、らぶ……ホテル……ですか?」 「おっ、お前、ラブホテルって……。い、いや、ここでいい。この部屋で……」 部長はおでこに手を当てたまま、目を瞑って首を振り、また大きな溜息を吐いている。 ラブホテルだったらどうしようと思っていたから、正直助かった……。 いきなりあんなホテルで教えてもらうなんてなったら、入るだけでドキドキして、教えてもらうどころじゃなくなりそうだもんね。 「わかりました。じゃあ、レッスンの日は携帯にショートメールで時間を入れてもらってもいいですか? そしたらここにお伺いしますので」 「ああ、わかった」 「それと……」 「ま、まだ、何かあるのか?」 「今日って土曜日ですよね? 今日からレッスンを始めていただてもいいでしょうか?」 部長が放心したような顔で私を見つめたまま、また固まってしまった。
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