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「この間の金曜日はありがとな。本当に助かったよ」
先ほどまでの笑顔とはまた違って、柔らかくて甘い表情が一段と整った顔立ちを引き立てている。
イケメンは本当に得だ。
急に仕事以外の話を振られて戸惑ったものの、私も気になっていたこともあり、同じように頬を緩めた。
「部長、熱は下がりました? もう大丈夫ですか?」
「ああ、白石が持ってきてくれた薬とうどんと雑炊のおかげですっかり元気になった」
「それは良かったです。本当にすごい熱だったからびっくりしました」
「俺もあんなに辛い風邪は久しぶりだったよ。身体が全くいうこと聞かなかったもんな。……それで鍋を返さないといけないと思ってな。今の予定だと金曜日が珍しく定時で帰れそうなんだが、その時に返してもいいか? 今日、明日は予定が入っていてな。遅くなって申し訳ないんだが」
「全然大丈夫ですよ。金曜日ですね。じゃあ取りに行きますので、会社から帰られたら連絡ください」
「取りにきてくれるのか? 悪いな。じゃあ帰ったら連絡するよ」
私は部長に「では先にフロアに戻ります」と笑顔を向けると、会議室をあとにした。
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