悠樹side #3

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ふり(・・)をしようと思っていたのに、かすかに唇に触れてしまい、触れた瞬間、これ以上はしてはいけない──と頭ではわかっていたにもかかわらず、身体を硬直させながらも俺のキスを素直に受け入れる白石に、もう止めることができなかった。 角度を変えながら白石の唇を食べるように自分の唇で優しく包み込む。 柔らかい唇の感触が心地よくて、俺は何度も繰り返した。 舌で白石の下唇をなぞり、また包み込んで、今度は上唇をなぞり始める。 息が途切れ始めた白石が少し口を開いた。 その隙間に素早く舌を挿しこんでいく。 白石は必死で口を閉じようと力を入れてきたが、それを阻止するようにもっと奥へ舌を挿しこみ、歯列に舌を這わせた。さっき食べた甘いプリンの味がほのかに感じられ、その甘さがますます俺の気持ちを増長させていく。 俺は口の中で舌を動かしながら、白石の舌を捉えて絡めとり、解かせないようにもっと激しく絡めた。白石が俺の腕をぎゅっと掴み、どんどん呼吸が乱れ始める。 その反応に喜びを感じた俺は唇を離し、すうーっと首筋に指を滑らせた。じっと白石の顔を見つめながら首筋に優しく触れるように指を上下に何度も滑らせる。とろんとした瞳で俺を見つめ返してくる顔が堪らない。 そして首筋に滑らした指の横に唇を這わせた時、白石の身体がビクッビクッと反応した。同時に「……んあっ……」と、とても色っぽい声が口から漏れる。 その瞬間、俺はふと我に返り、首筋から唇を離した。 おっ、俺は白石に何をしようとしてるんだ──。 白石が俺に抱きつくように倒れ込む。 反射的に強く抱きしめてしまった俺は、すぐに腕を解き、ゆっくりと身体を離しながら白石に視線を向けた。 「ごっ、ごめん……。悪い……、やりすぎた」 こんなに激しいキスを、いや、キス自体をするつもりなんて全くなかったのに、俺はなんてことをしてしまったんだ。止めることができなかっただけでなく、今の今まで全てが無意識だった。 白石が声を漏らさなかったら、ビクッと身体が反応しなかったら、おそらくまだ俺は続けていただろう。 もっともっとその先まで。 白石が望んだことを──。
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