一緒に福岡へ

7/17
前へ
/454ページ
次へ
急にガッターン──と大きな音がして身体に衝撃を感じた私は、パチンと目を開けて辺りを見渡した。 飛行機はまだ動いているけれど、窓の外にはアスファルトと止まっているたくさんの飛行機が見える。 どういうこと? さっきまで空の上だったよね。富士山見えてたし……。 すると隣から部長の声が聞こえてきた。 「白石、よく寝てたな。まあ、朝が早かったもんな。福岡着いたぞ」 「もう、もう福岡着いたんですか?」 「ああ、白石が寝てる間にな。写真撮ってたと思ったら、急に全く身動きもせず眠ってしまうんだもんな。すごいよな」 部長はよほど可笑しいのか、クスクスと笑っている。 「寝るつもりはなかったんですけど……。すみません」 「大丈夫だ。もうすぐ降りるから準備しとけよ。これからが仕事だから」 微笑みの中に先ほどまでとは違う上司としての表情が見え、私は「わかりました」と返事をして頷くと、気持ちを切り替えるように姿勢を正して降りる準備を始めた。
/454ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35072人が本棚に入れています
本棚に追加