モヤモヤする気持ちって……

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葉子へのお土産話ができたと喜んでいたところで、部長が「あ、ラーメン……」と、ぼそっと呟いた。 んっ? ラーメン? そうだ、ラーメン! どうやらつい話に夢中になりすぎて、中洲の屋台を通り越して、かなりホテルに近づいてきてしまったようだ。 「悪い、ホテルの近くにも何軒かラーメン屋があるんだが全部店舗のラーメン屋なんだよな。どうする? 屋台まで戻るか?」 私を気遣って屋台まで戻ろうかと言ってくれてるんだろうけれど、部長も朝早くから起きてかなり疲れているはずだ。屋台のラーメンも食べてみたいけれど、ここまで歩いてきたのに戻るのは申し訳ない。 「ホテルの近くのラーメンにしましょうか。その方がお腹いっぱい食べてもすぐ帰れるし」 「お腹いっぱい食べてもって、太るの気にしてるんじゃなかったのか?」 「えっ? あっ、そうでした。でも今日はいいです。ダイエットは明日から頑張ります」 「ダイエットは明日から? なんだ、それ」 またしても部長に笑われながら、私たちはホテルの近くのラーメン屋に入り、豚骨ラーメンと一緒に餃子とビールまで頼んでしまった。 もっちりとした麺の濃厚な豚骨ラーメンと、ニンニクがたっぷり入ったパリパリに焼かれた餃子。 テーブルに置かれたときは、こんなに食べれないかも……と思っていたのに、スープが麺によくからみ、美味しくてたまらない。 「うわぁ、豚骨ってこんなに濃厚なんだ。美味しいな。餃子もパリパリだし。だけどこんなにニンニクがきいてたら、明日臭っちゃいそう……」 「別に気にすることないだろ。彼氏とキスするわけじゃあるまいし」 部長の言葉に、一瞬箸が止まる。 キスって……。 すっかり忘れてたけど、私、そう言えば部長と……。 「あ、悪い。そんなつもりで言ったんじゃなくて……」 部長も思い出したのか、かなり焦っているようだ。 「そ、そうですよね。彼氏とキスするわけじゃないですもんね。じゃあ餃子食べちゃお」 私は気にしないように振舞うと、餃子を口の中に入れ、キスのことを忘れるようにお腹いっぱいになるまで食べた。 そして、「もう何も入らない……」と言いながらホテルに戻り、部長と明日の朝の約束をして別れると、気が抜けたのか部屋に入った途端、ベッドに吸い込まれるようにそのまま眠りについた。
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