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「何を赤くなってるんだよ? 俺、何か変なこと言ったか?」
「そ、そんなことないです。どうぞ、どうぞゆっくり着替えてきてください」
私は部長から目を逸らすように、慌てて手に持っていたスプーンでプリンを掬って口に入れた。
部長は着替えを持って浴室に行くと、黒いスウェットに着替えて戻ってきた。シャワーを浴びたのか、少し顔が上気したように赤くなっている。
そのまま冷蔵庫からペットボトルのお茶を2本取り出すと、私の座っているソファーへとやってきた。
ローテーブルの上にそれらを置き、私の隣に座る。
やっと落ち着いた──と言いながら、ペットボトルのキャップを捻り、ゴクゴクと喉を鳴らして飲んだ後、ふぅーと息を吐いて再びテーブルの上にお茶を置いた。
「この間、大丈夫だったか?」
横から顔を向けられ、優しく見つめられる。
「は、はい……、大丈夫、です」
さっきまで普通に話せていたのに、緊張して上手く会話ができない。
視線が合うと恥ずかしくて、つい目を逸らしてしまう。
「茉里、こっち向いて?」
私の顎に手を添えて強引に自分の方へ顔を向けさせる。
恥ずかしいのか──? と聞かれ、視線をさまよわせながら小さく頷いた。
「今日はどうしてほしい? 何か希望はある?」
「な、ないです……。で、でも、怖くないのがいい、です……」
「今日も怖くないようにか……。じゃあ今日は最初からベッドに行くか?」
えっ? と思わず目を見開く。
そんなびっくりするような顔するなよ──と頬を両手で挟まれ、唇にチュッとキスをされた。
激しくないキスには少し慣れてきたとはいえ、恥ずかしいことには変わりはない。
じゃあこの間みたいに俺の膝に跨るか──? と聞かれて私は慌てて首を振った。
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