2回目のレッスン

4/23
前へ
/454ページ
次へ
「何を赤くなってるんだよ? 俺、何か変なこと言ったか?」 「そ、そんなことないです。どうぞ、どうぞゆっくり着替えてきてください」 私は部長から目を逸らすように、慌てて手に持っていたスプーンでプリンを掬って口に入れた。 部長は着替えを持って浴室に行くと、黒いスウェットに着替えて戻ってきた。シャワーを浴びたのか、少し顔が上気したように赤くなっている。 そのまま冷蔵庫からペットボトルのお茶を2本取り出すと、私の座っているソファーへとやってきた。 ローテーブルの上にそれらを置き、私の隣に座る。 やっと落ち着いた──と言いながら、ペットボトルのキャップを捻り、ゴクゴクと喉を鳴らして飲んだ後、ふぅーと息を吐いて再びテーブルの上にお茶を置いた。 「この間、大丈夫だったか?」 横から顔を向けられ、優しく見つめられる。 「は、はい……、大丈夫、です」 さっきまで普通に話せていたのに、緊張して上手く会話ができない。 視線が合うと恥ずかしくて、つい目を逸らしてしまう。 「茉里、こっち向いて?」 私の顎に手を添えて強引に自分の方へ顔を向けさせる。 恥ずかしいのか──? と聞かれ、視線をさまよわせながら小さく頷いた。 「今日はどうしてほしい? 何か希望はある?」 「な、ないです……。で、でも、怖くないのがいい、です……」 「今日も怖くないようにか……。じゃあ今日は最初からベッドに行くか?」 えっ? と思わず目を見開く。 そんなびっくりするような顔するなよ──と頬を両手で挟まれ、唇にチュッとキスをされた。 激しくないキスには少し慣れてきたとはいえ、恥ずかしいことには変わりはない。 じゃあこの間みたいに俺の膝に跨るか──? と聞かれて私は慌てて首を振った。
/454ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35906人が本棚に入れています
本棚に追加